会計AI人材を育てる / 公開教材
三つとも、根っこは同じ道具です。文章や資料を渡すと、文章が返ってくる。違いが出るのは、どこまで任せてよいかを知っているかです。当社の公認会計士が実務で使っている順に、基本から応用まで並べました。
2026年9月時点の内容です。各社の機能名・提供範囲・料金は頻繁に変わるため、本文は変わりにくい「型」を中心に書き、個別の機能名は目安として示します。料金は各社の公式サイトでご確認ください。
大量の文章から「次に来そうな言葉」を学んだ道具です。だから文章の下書きは得意で、事実の正確さと数値の計算は保証されません。製品によってはWeb検索や計算の機能が後から付いていますが、「今回それが使われたか」は毎回確かめが要ります。この一点を押さえると、使い方の多くが決まります。
手元のメモを貼って「決定事項・宿題・担当・期限の4項目で整理して」。要旨の形式が身につくと、以後の依頼が楽になります。
「相手・目的・伝えたい3点・避けたい表現」を渡して下書きさせ、自分の言葉に直して送る。社名と金額は伏せ字で渡します。
「経理2年目に説明するつもりで、具体例を一つ付けて」。理解の入口に使い、正確な定義は基準や条文の原文で確かめます。
三つに共通する機能(名称は各社で異なり、契約の種類や管理者の設定により使えないものがあります):チャットでのやり取り/PDF・Excel・画像の添付/Web検索を併用した回答/長い資料を一度に読む/自分専用の指示や資料をあらかじめ保存しておく仕組み。
性能の優劣は数か月で入れ替わります。ここでは順位ではなく、周りの道具との相性と、当社が実務で感じている傾向だけを書きます。傾向は測定した結果ではなく、当社の使用経験です。
どれか一つに決める必要はありません。会社で使うなら、まず一つを法人契約で入れ、もう一つを「検証用」に持つのが当社の勧めです。同じ問いを二つに投げて答えが割れたところが、人が確かめるべき場所です。答えが揃っても正しいとは限らないので、最後は原文で確かめます。
使い方より先に決めるのは、この一つです。決めておけば、社員は安心して使え、管理部は説明できます。
社名を「A社」に、金額を桁だけ残して丸める。この二つで、管理部の仕事の多くは回ります。ただし日付・役職・取引条件の組み合わせで会社が特定できることがあるので、渡す前に「これで誰の話か分かるか」を一度見ます。
使う形は四つあり、契約・データの扱い・管理者ができることが違います:個人向けアプリ/法人向けの共有環境/API(自社の仕組みから呼ぶ)/ローカル(会社の中で動かす)。このページの一〜五は主に前二つの話です。
個人向けの契約では、既定で入力内容がAIの学習に使われる場合があります(設定で止められることもあります)。法人向けの契約では使われないのが一般的ですが、学習・保存期間・人による閲覧は別の論点です。規約と設定画面で確かめ、確かめた日付を残します。
私物のアカウントで業務をしないこと。会社で契約すれば、退職時に止められ、利用状況を把握できます。会話の本文まで確認できるかは契約と設定によります。
「AIが書いた」は理由になりません。誰が、何を根拠に、どこを直して使ったかを残す。監査や内部統制の点検で、まず問われるのはここです。
各社の契約条件・データの取り扱いは規約が正本です。ここに書いた原則は目安であり、導入時には現物の規約を一緒に読みます。
うまくいかない原因の多くは、頼み方に穴があることです。少し込み入った依頼では、役割・目的・材料・形式・制約の五つを揃えて書く。慣れると、これが「AIへの業務指示書」になります。
【役割】上場準備企業の経理責任者の補助者として答えてください。 【目的】取締役会向けの月次報告に載せる、売上と粗利の増減コメントの下書き。 【材料】下の表(社名は伏せ、金額は百万円単位に丸めています)。 【形式】各項目 2文以内。数値は表の値だけを使い、表にない数値は書かない。 【制約】原因の断定はしない。「〜と考えられる」の形で、確認が要る点は末尾に列挙する。 (ここに表を貼る)
録音の文字起こし(参加者の承諾を得たもの。氏名は役職や記号に置き換える)を貼り、決定事項・宿題・担当・期限で整理。
検証:決定事項は必ず元の発言に戻って確かめる。
現行の条文と変更したい点を渡し、改定案と新旧対照表を作らせる。
検証:他の規程との矛盾は人が読む。
秘密保持に触れない範囲で、必要な条項だけを渡し、要約と自社に不利になりうる箇所を列挙させる。
検証:判断は必ず弁護士へ。AIは論点出しまで。
「この列からこの結果を出したい」と例を渡す。関数の意味も説明させる。
検証:検算用の別シートで、手計算と一致を見る。
「この取引に関係しそうな基準と論点を挙げて」。入口として使う。
検証:条番号と結論は必ず原文(会計基準は企業会計基準委員会、法令は e-Gov)で読む。
事実関係を箇条書きで渡し、相手に合わせた文面にする。
検証:事実の追加や脚色が混ざっていないかを一文ずつ見る。
出典が出ない、開けない、書いてあることと違う。この三つはよく起きます。
合計・比率・単位換算は、AIの答えを見る前に自分で出しておくのが早道です。
「この文章の誤りと根拠の弱い箇所を挙げて」と、作ったのと違う系統に渡します。同じ誤りを共有することもあるので、最後は原文です。
要約は入口。適用の可否と条番号は原文で確かめてから、文書に書きます。
同じ現物で、AIがどう下書きし、会計士がどこを直したかは、連載 AI×会計 で公開しています。
基本が身についたら、毎回同じことを頼まなくて済む形にします。ここから先が、会社としての「AIの使い方」です。
社内の用語集・書式・禁止事項を一度書いて保存しておく(プロジェクト、カスタム指示、Gem など。名称は各社で異なります)。以後は「今月分」と言うだけで、指示のばらつきが減ります。レビューは毎回要ります。
規程集・過去の議事録・基準集を入れ、「資料にないことは答えない」と指示する。読み落としや取り違えはあるので、根拠の箇所を必ず示させ、そこを開いて確かめます。
当社の作法です。作成に使ったモデル以外の系統に「誤りと根拠の弱い箇所を探せ」と渡し、指摘の採否は人が原文に当たって決めます。
「列名はこの順で、Excel に貼れる形で」。次の工程(集計・チェック)に渡せる形にしておくと、人の転記が減ります。取り込む前に件数と合計を検算します。
ブラウザやファイルを自分で操作して作業を進める機能を、各社が提供し始めています(契約により使えない場合があります)。任せる範囲を一つの作業に絞り、操作の記録を人が見ます。送信・支払・削除は任せません。
三の節で「入れない」と決めた資料にもAIを使いたいなら、会社の中で動くAI(ローカルLLM)を置く選択肢があります。閉じた法人環境やAPI経由の専用構成と並べて、資料の重さに合わせて選びます。
【役割】公認会計士のレビュアーとして、下の文書を批判的に読んでください。 【目的】文書を良くすることではなく、誤りを見つけること。 【材料】下の文書(別のAIが下書きしたものです)。 【形式】指摘ごとに「箇所/何が違うか/根拠(基準名・条番号)/確からしさ(高・中・低)」の表。 【制約】褒めない。根拠が示せない指摘は「低」と明記する。文書の書き直しはしない。 (ここに文書を貼る)
当社が成果物を作る中で、実際に起きた誤りの型です。どれも文章としては自然で、読み流すと通ってしまいます。
基準名は合っているのに、項番や適用指針の番号がずれる。結論の根拠として書く前に、原文で開きます。
千円と百万円の取り違え、粗利率と営業利益率の言い間違い。数値のラベル付けをAIに任せた当社の公開デモでも実際に起きた型で、いまは単位と比率の名前をプログラム側で確定してからAIに渡す作りに直しています。
学習時点より後の改正は、Web検索を併用しない限り出てきません。併用しても取りこぼすので、「いつ時点の情報か」を毎回確かめます。
それらしい書名・判例・URLを組み立てます。出典は「あるか」から確かめます。
だから、AIの使い方より先に要るのは、会計の判断ができて、AIの出力を検証できる人です。当社はその人を、会社の中に増やすことを教育の目的にしています。
会計AI人材を育てる — 企業内研修と公開教材について。
一般論の講義ではなく、貴社の管理部の書類を一本選び、AIで下書きし、どこを直すかを一緒に見ます。社名を伏せたままでも、ご相談いただけます。営業電話はしない方針です。
導入相談を予約する(オンライン30分・初回無料)→初回の30分は無料です。2回目以降のご相談は、顧問契約の中で承ります。
監査などで関わっている会社と重ならないか、面談の冒頭で確認します。重なりがある場合はお受けできません。