tk01 公開 2026-11-01 つかいかた

公務員2万人がAIを3か月使ったら、1日26分浮いた

2024年9月末から12月末までの3か月、英国政府は12の政府機関で働く職員2万人に、業務用のAIアシスタント(Microsoft 365 Copilot)を配りました。

2025年6月に公表された報告書によると、職員の回答から推計した短縮時間は、1日平均26分。同じ効果が1年続くとすると、13日分にあたります。82%の職員が「AIを使う前の働き方には戻りたくない」と答えました。

日本にも、同じ方向の数字があります。パナソニック コネクトは、国内の全社員約1万1,800人が使う社内AIで、2025年度に78.8万時間を減らしたと発表しました(2026年7月)。同社によると、総労働時間の3.4%にあたり、前の年度の2倍。1回使うごとの削減は平均33分です。

時間が短くなったのは、どんな仕事か

英国の報告書によると、最も時間が短くなったのは、文書をつくる仕事でした。文書の下書きで24分、プレゼン資料の作成で19分の短縮が報告されています。7割を超える職員が、調べものや単調な作業の時間が減り、より考える仕事に時間を使えるようになったと答えています。

パナソニック コネクトが挙げる用途にも、議事録、提案書、設計書や仕様書の作成といった、文書をつくる仕事が並びます(ほかにコード生成やログ分析など)。

なかでも分かりやすいのは、白紙から書き始める仕事です。AIが下書きをつくり、人が直す。この分担なら、すぐに試せます。

一方で報告書は、複雑なデータや、細かな文脈を読み取る必要がある仕事では限界があった、とも書いています。

自社で試すなら

  1. 白紙から書く仕事を3つ書き出す。 経理・管理部なら、月次報告のコメント、社内規程の改定案、取引先への依頼文などです。
  2. 会社で契約したAIで、2週間試す。 会社の契約なら、入力した情報が学習に使われるか、どこに保存されるかを、契約と設定で確かめてから使えます。安心して使うための土台です。
  3. 使うたびに「何分短くなったか」をメモする。 英国もパナソニック コネクトも、効果を時間で数えています。数えると、どの仕事に向いているかが見えてきます。

会計・監査の人へ

注記の下書き、社内向けの決算説明資料の文案、内部統制の文書の改訂。管理部には「白紙から書く仕事」がたくさんあります。文章の下書きをAIに任せると、人は数字と判断の確認に時間を回せます。


出典:英国政府 Government Digital Service「Microsoft 365 Copilot Experiment: Cross-Government Findings Report」(2025年6月2日。短縮時間は利用者の回答からの推計)/パナソニック コネクト プレスリリース(2026年7月29日)

どこまでAI?診断(3分・匿名)

公認会計士(登録番号22698)。日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の設立時から関与し、新規暗号資産・交換業者の審査、統一経理基準および財務健全性指数の策定に携わった(いずれも当時)。本稿で用いるのは公表資料のみ。