tk03 公開 2026-11-01 つかいかた

AIと組んだ乳がん検診で、見つかるがんが29%増え、画像を読む手間は44%減った

スウェーデンで、10万人を超える女性が参加した大規模な臨床試験がありました(MASAI試験、2021〜2022年)。乳がん検診のマンモグラフィ画像を、これまでどおり医師2人で読むグループと、AIと組んで読むグループに無作為に分け、結果を比べたものです。

AIと組んだグループでは、検診で見つかったがんが29%多くなりました(1,000人あたり6.4件。従来の方法は5.0件)。それでいて、がんでない人を精密検査に回してしまう割合は増えていません。医師が画像を読む手間は44%減りました。

2026年1月には、次の結果も出ました。検診のあと、次の検診までの間に見つかったがんは、AIと組んだグループで1,000人あたり1.55件、従来の方法で1.76件。見逃しの目安となるこの数字でも、従来の方法より悪くなっていないことが確かめられています。

AIは何をしたのか

AIの仕事は2つでした。

  1. 画像ごとに、がんの疑いの強さを1〜10の点数にする。 10の画像は医師2人で、それ以外は医師1人で読みます。1人で読む分、手間が減りました。
  2. 気になる箇所に印をつける。 医師は、印を手がかりに画像を読みます。

精密検査に回すかどうかを最後に決めたのは、医師です。AIが手伝ったのは、どこを重点的に見るかでした。

自社で試すなら

経理の承認でも、AIの点数で「どこを深く見るか」を決められます。承認する人は減らさず、確かめる深さに濃淡をつけます。

  1. 会社で契約したAIで、伝票や経費精算に「気になる度合い」をつける。 普段と違う金額、初めての取引先、休日の日付などの特徴から点数にします。
  2. 点数の高いものは、承認する人が原本と根拠まで確かめる。低いものは、一覧で確かめる。 全件を同じ深さで見るのをやめ、重点を移します。
  3. 点数と、実際に見つかった誤りや差し戻しを突き合わせる。 点数がよく当たっているかを確かめてから、配分を広げます。決めるのは人。AIの点数は、どこを見るかの手がかりです。

会計・監査の人へ

承認を省くのではなく、深く見る場所を選ぶ。内部統制の言葉でいえば、リスクに応じて確かめる深さに濃淡をつける設計です。検診の試験は、AIで重点を決めるやり方が、10万人規模で試されてうまくいった例です。経理で使うときも、まず一部で試し、当たり具合を確かめてから広げてください。


出典:MASAI試験(スウェーデン・ルンド大学)The Lancet Digital Health(2025年2月)/The Lancet(2026年1月29日)/The Lancet Oncology(2023年8月)

どこまでAI?診断(3分・匿名)

公認会計士(登録番号22698)。日本暗号資産取引業協会(JVCEA)の設立時から関与し、新規暗号資産・交換業者の審査、統一経理基準および財務健全性指数の策定に携わった(いずれも当時)。本稿で用いるのは公表資料のみ。